中国在任中海外本社を定年し、退職金を取得した場合の個人所得申告は一般的に添付の計算方法ですが、去年下記の規定が発布され、実務上全額日本での申告が可能になります。
法律根拠
1. 財政部 税務総局 「中国国内に住所を有しない個人の居住日数判定標準についての公告」 (財政部 税務総局公告〔2019〕34号)
2. 財政部 税務総局 「非居住者及び住所の無い居住者の個人所得税政策についての公告」 (財政部 税務総局公告〔2019〕35号)
3. 財政部財政司 税務総局所得税司 税務総局国際税務司責任者より 「個人所得税183日居住日数判定標準について,記者の質問を答える」
税務署の見解
海外親会社の雇用関係による取得した退職金は全額海外申告
詳細
1.中国国内に住所を有しない個人の納税区分(居住・非居住)の判定について下記の②に該当する。
納税区分 |
判定条件 |
①居住者 |
中国国内に住所を有する者 |
②居住者(外国人) |
中国国内に住所を有しないが、一納税年度において中国国内での183日以上、居住する者 |
③非居住者(外国人) |
中国国内に住所を有しないが、一納税年度において中国国内での183日未満、居住する者 |
※ ここで住所を有するとは、戸籍、家庭、経済的利益の関係から、中国内に習慣的に住む者であり、実際の住居の有無を前提としない。
2.住所を有しない者の給与と納税義務について 下記③該当して、183日以上、連続6年未満の国外所得是国外払いになります。
高級管理職以外(海外親会社での役職)
居住日数 |
納税区分 |
国内所得・国内払い |
国内所得・国外払い |
国外所得・国内払い |
国外所得・国外払い |
①90日未満 |
非居住者 |
納税 |
免税 |
免税 |
免税 |
②90日以上、183日未満 |
非居住者 |
納税 |
納税 |
免税 |
免税 |
③183日以上、連続6年未満 |
居住者 |
納税 |
納税 |
納税 |
免税 |
連続6年以上 |
居住者 |
納税 |
納税 |
納税 |
納税 |
以上
添付 退職金計算方法
控除できる金額 |
雇用関係のある地域前年度平均所得額の3倍以下の退職金 |
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課税対象 |
(退職金額-(前年度平均所得*3))*対応税率-速算控除数 |
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財政部 税務総局「個人所得税法の修正後の優遇政策接続問題に関する通知」(財税【2018】 164号) 第5条、労働関係の解除・早期定年退職・内部休職についての一時的補償所得に関する政策 個人が会社と労働関係を解除する際に取得した一時的補償所得(経済補償金・生活補助費とその他の補助費を含む)について、所在地前年度平均所得の3倍以下の部分に対し、個人所得税を免除できる。3倍を超える部分は、当年度総合所得に合算させずに、総合所得税率表に適用し単独課税計算をする。 |
計算例
①退職金総額 |
1,580,000.00 |
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②2019年度上海市社会平均給与 |
114,962.00 |
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③中国勤務年数 |
12 |
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④中国以外の勤務年数 |
13 |
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⑤中国での所得額 |
758,400.00 |
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⑥控除額 |
344,886.00 |
(②の3倍) |
⑦課税対象額 |
413,514.00 |
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⑧適用税率 |
25% |
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⑨速算控除額 |
31,920.00 |
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⑩個人所得税 |
71,458.50 |
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